【妻と一緒にアイアンマン❗~①準備編~】

長文に成りますが、備忘録の位置付けとして、①準備編、②スイム編、③バイク編、④ラン編の4部に分けて掲載させていただきます。

興味ある人は、ご一読ください。
トライアスロンの「全くの未経験者」の妻の真理が、どのようにして3年でアイアンマンに成れたか?夫の立場から備忘録的な位置付けとして記述していきたいと思います。

運動、トライアスロン未経験者でも、「誰でも」、3~5年間、「コツコツと真面目に練習すれば」、アイアンマンに成れると自分は確信しているからです。
アイアンマンと言うのは、肉体がアイアンなのではなく、「精神的にアイアン」であれば、「誰でも成れる生涯スポーツ」と自分は認識しています。

【宮古島移住の理由、夫婦の夢】
妻と一緒に、トライアスロンを生活の中心に置き、2017年1月、宮古島に移住しました。
安全、快適なトライアスロンの練習環境が整っていること、二人とも宮古島に何度も来た経験あり、宮古島が大好きだったこと、が移住のきっかけです。
二人とも50代。
子育てが終わり、セカンドライフを宮古島で送っています。
夫婦の夢は、夫婦でアイアンマン世界選手権(コナ)エイジ優勝🏆と大きく設定しています。
年間通じた練習計画に基づいて夫婦で本当に楽しく、毎日を送っています。

【真理のトライアスロン完走歴】 
スイマー経験、トライアスロン未経験で練習3ヵ月、2016年 WTS横浜大会のスプリントの部(S750m、B20km、R5km)完走。

2017年 東扇島 ショートの部(S1500m、B40km、R10km)完走。
2018年 アイアンマンセントレア 70.3(S1900m、B90km、R21km)完走。

スプリント→ショート→ミドルと1年ずつ距離を伸ばして、今回のアイアンマンディスタンス(S3800m、B180km、R42km)に挑戦しています。

【アイアンマンレース準備】

トライアスロンは、ショートとアイアンマンは、「全く別の異なる競技」と自分は認識しています。
アイアンマンディスタンスを完走するためには、スピードは不要、とにかくゆっくりでも長時間動き続ける事ができる「エンデュランス」の身体を作ることが必要と考えています。

2018年11月から2019年5月までの期間を4つに分けた練習計画を個別に立案し、夫婦でそれを実行しました。
トレーニング準備期→基礎期→強化期→レース準備期です。

ポイント練習は、木曜日のバイクロングライド練習、土曜日のスイムタイムトライヤル、日曜日のロング走。
補強練習として、火曜日と土曜日に、B@Bで筋トレ(スクワットとデッドリフト)とストレッチ、体幹を使える動作の習得の指導を受け、大野山林でのトレイルランも取り入れてきました。

とにかく、16時間半の制限時間内で完走するために、長時間動き続ける体を作ること、これを重点的にやりました。
真理の月間距離は、S15~20キロ、B200~500キロ、R100~200キロ程度です。

これ以上は、無理でした。
いつも体のどこかが痛い、と訴えるので、週2回ペースでマッサージに夫婦で通い、とにかくリカバリーを第一に優先させました。

真理は、スイマー出身なのでスイム3800mは、ほぼ問題無し、バイク180kmは、休憩を入れれば何とかNP130wでクリア可能、ランは21kmまではキロ7分程度で走れる、歩きを入れれば4時間は動き続ける事ができるところまで5月末にこぎ着けたのです。

【レース目標】
今回のレース目標は、とにかく、制限時間の16時間半内に完走する事。

記録はどーでも良いから、「制限時間を目一杯使って夫婦で笑顔で一緒に完走」する事でした。

三種目では、S90分、B8時間、R6時間半、トランジション2回合計30分、合計16時間半と設定しました。

【レース選択】
完走を第一目標にしたので、自分が参加経験有り、コースが比較的フラットで、時差が少なく、宮古島からのアクセスが比較的容易なアイアンマンケアンズに決定し、1年前にレースとホテルの申し込みを済ませてしまいました。

→アイアンマンは、早く申し込むほど参加料金が安く成ります。ホテルは、フィニッシュエリアに近く、自炊環境があるアパートメント形式が遠征には快適です。

【やらかし】
①クイックショットをアイアンマン遠征で初めて空港で没収され(宮古空港)、パンク対策無しでレースを行った。→次回の課題です。

②オーストラリアのビザETA の支払いが真理の分だけ未完了と指摘され再度空港で申請した。(支払い済みの確証メールも来ていたが)
→原因は、システムトラブル?

こんな感じで、レース当日を迎えました。

【妻と一緒にアイアンマン❗~②スイム編~】

【練習で取り組んだこと】
11月から、「パドル」を使ったスイムに夫婦で取り組みました。(月間平均15~20km程度)
これは、キャッチの向上に非常に効果的でした。

また、「骨盤」を意識したロ-リング、「肩甲骨」の柔軟性の強化などを夫婦で取り組んだ結果、100メ-トルのタイムで10秒程度の向上が見られました。
「仙骨ラクダ」を常につけて実施しました。
3月までは、リフレッシュパ-クのプ-ルをメインに、月一回程度はわいわいビ-チでウェットでの実践的なスイム練習に取り組みました。
5月に入ると、毎週土曜日はわいわいビ-チでタイムトライヤルを実施し、3800メ-トルを130bpmくらいの低い心拍でも80分程度で泳げるようになったのです。
妻は、さらに2~3分は自分を上回っていました。

【スイムレ-ス戦略】
レ-ス前夜、妻と協議した結果、スタ-トグル-プを最もスタ-トの早い「第1グル-プ(60分以内)」にすることに決めました。
理由としては、①潮の流れが遅い時間になるにつれて速くなるという情報をキャッチしたこと、②早いタイムのグル-プでは、周囲を見れる選手が多く、バトルが回避しやすいこと、でした。
また、ピンクの折り返しに向けては、ブイの内側を泳いでも構わないので、あえて選手が少ない「ブイの内側」をピンクのブイに向けてまっすぐ泳ぐことに決めました。
また、ピンクのブイが遠方にあるので見えにくいため、山などの地形を目印に定め、そこに向かって泳ぐことにしたのです。

【起床~レ-ス開始まで】
3時起床。
さとうのごはんとインスタント味噌汁が朝食です。
昨夜は21時頃、寝ましたがぐっすり眠れました。
二人とも、体調はかなり良い状態です。
いつもは、一週間前から実施する禁酒を今回は解禁にしました。
ただし、量は減らしました。
理由としては、前回のチュ-リッヒでは、禁酒にともない食が細くなり、どうも体に力がはいらなくなった状態でレ-ス当日を迎えてしまったからです。
自分の体は年齢とともに変わっていくのだと思いました。
これは成功しました。

4:40のバスに乗り、約20km離れたスイムスタ-ト地点であるパ-ムコ-ブに向かいます。
このレ-スでは、バスの予約は各自がネットで実施するようになっているので、二回目といい結構大変です。慣れていないと一人ではかなり大変と思います。
バイクに空気を入れ、食料、水をセットし、ウェットス-ツを着てゆっくりと妻とウォ-ミングアップ。
波は昨日よりは収まっていますが、日本では間違いなく中止になるレベル。
試泳した感じでは、沖に泳ぐときがかなり大変でした。
この悪い状況の中、設定レ-スタイムを90分とし、妻と第1グル-プ後方からスタ-トしました。

この大会は、5人ずつの「ウェ-ブスタ-ト」。
バトルがほとんど無く、とても泳ぎやすいです。
周りは180センチクラスの大柄なオ-ジ-がたくさん。
自分は人工内耳のインプラントを右耳の上に埋め込んでいるので、ここを直撃されると緊急手術の可能性あり、毎回、バトルにはかなり注意しています。

【スイムレ-ス】
妻と一緒にスイムスタ-ト。
練習通りのイメ-ジで入っていきます。
波も強いけど小刻みなうねりが強い。
体ごとひっくり返りそうになるのをおなかに力を入れてこらえ、たんたんと進みます。
戦略通りのコ-スをピンクのブイ目指して泳いでいきますが、いけどもいけどもピンクが見えない。
やっとの思いでピンクのブイを折り返し、練習通りにスイムアップしました。
タイムを見ると1時間28分。予定通りにピッタリ決まりました。
真理はたぶん3~4分先にスイムアップしていることを想定し、バイクバッグを取り、TIのテントで着替えます。
この大会でも、「脱がし隊」が居るので、豪快にウェットス-ツをズル剥いてもらいました(笑)

バイクのところに行くと、真理のバイクはすでにスタ-トしていました。
「この悪天候の中、よくぞ3800mがんばったものだなぁ~」と思いながらバイクをスタ-トさせました。

【スイムリザルト】
スイムの距離は、もともと3800メ-トルではなく、3900メ-トルだったことが今わかりました(笑)

伸一
1時間28分37秒 2分15秒/100m 平均心拍145bpm、ストロ-クピッチ30spm、実際に泳いだ距離 3922m、年代ランク69/82
T1 9分15秒

真理
1時間24分13秒
T1:11分19秒
二人とも全く練習通りの100点満点のスイムで、バイクに向かいました。
練習通りに一定のリズムでたんたんとこなしたスイムでした。

【妻と一緒にアイアンマン❗~③バイク編~】

練習通りのたんたんとしたリズムでバイクをスタ-トさせました。
一回経験したバイクコ-スなんですが、想定よりも路面が悪く、ガタガタと揺れます。
5分くらいして気が付くと、フロントのハイドレ-ションが吹っ飛んでいます。
耳が不自由なので吹っ飛んだ音が聞こえなかったのです。
もろみ酢、熱中症対策のソリタNO3が入ったハイドレ-ションでした。
リアにセットしていた「飲むおにぎり」を入れたボトルも気が付くとふっとんでいました。

「エイドでしっかりと水分を補給しよう」と気持ちを切り替えてたんたんと進みます。

平均150wのパワ-が今回の自分のレ-スペ-スと、練習を何度も繰り返した結果決めていました。
スイムもそうですが、バイクも入り始めのリズムを作る練習は、かなりの回数行いました。
何度も何度も繰り返し、体にリズムを染み込ませます。
10分程度たったパ-ムコ-ブのタ-ンでパワ-を見ると平均NPが150w。ピッタリです。

少し行くと、真理が停まっているので近寄って聞くと、ボトルケ-ジに詰めて入れていた防寒着を落としたとのこと、拾っている間に、先に行くことにしました。

約40km先の折り返し地点のポ-トダグラスまでは、予定通りNP150wでたんたんと進みます。
FTPが210wなので70%程度の負荷なので比較的ラクです。
オ-ジ-をはじめとする外国人はバイクが強いので、ガンガン抜かれていきます。これも想定内。
「自分のリズム」でたんたんとやっていきます。
レ-スでは絶対にまぐれは起こりません。
今回のレ-スの最大のテ-マは、「とにかくバイクの前半は押さえ、突っ込まないこと」でした。

ポ-トダグラスまでは南の追い風で時速40km程度を想定していましたが、さほど風は強く吹いていませんでした。

折り返して4分程度したところで、真理とすれ違いました。
元気そうでしたが、少し設定ペ-スが速いようなので押さえるように指示しました。
120w~130wを真理は想定していましたが、140w程度で入っているように見えたからです。

自分の40kmまでの結果。
NP152w、1時間23分、平均心拍152bpm、平均ケ-デンス80spm、平均スピ-ド29km/h
練習通りです。

80km地点のパ-ムコ-ブを折り返すと、5分くらいで真理とすれ違いました。
少しきつい表情に変わっていましたが、レ-スをほぼマイペ-スで進めている様子でした。
120km地点のポ-トダグラスまでも、たんたんと150wで進み、折り返して15分程度で真理とすれ違いましたが、この時は相当キツイ表情でした。
「これはかなりまずい」と感じ、150w→120w‎に落としてラスト60kmを行くことにしました。
自分のペ-スで行くことも考えましたが、やはり夫婦で完走するために、辛い練習を二人で繰り返し、ケアンズに乗り込んできたのでサポ-トを第一優先にすることにしました。

このころから向かい風が強く吹き始め、あと60kmを真理が強烈な向かい風の中、本当に8時間でバイクを終えるかどうか? かなり心配しながら進めていったのです。

バイクを終え、しっかり補給し、ランに入ります。

7時間40分06秒。T2 9分20秒

脚は残っていたので心地よいペ-スの6分30秒で走り始めながら、歩きを入れ、折り返して真理の姿を探していると、向こうから快適に走っている真理の姿が見えました。
予定通り、8時間でバイクフィッシュできたのです!

8時間03分24秒。T2 9分31秒
バイクの途中、トイレに2回、持参したおにぎりもしっかり食べたようで、快適にランを開始していました。

完走できるかもしれない! 期待に胸を膨らませて走り続けました。


【妻と一緒にアイアンマン❗~④ラン編~】

ランは7時間以上かけても制限時間16時間半以内の完走ができるところに来ています。
あとは、アクシデント無しに、制限時間を目いっぱい使って淡々と42.195kmを前進するだけでした。
何が起こるかわからないロングトライアスロン、とにかく無理をしないで淡々と進めていきます。
トライアスロンは、決して「頑張らないこと」が大切。頑張って良いのはランのラスト10キロ「だけ」です。
その前に、どこかで「頑張って」しまうと、次の種目で大きなしっぺ返しが来るからです。

トライアスロンは、三種目の寄せ集めのスポーツと誤解している人が物凄く多いですが、本当は、三種目ではなくひとつのスポーツなんです🎵

自分は、心地よいペ-スと歩きを混ぜながらキロ9分10秒ペ-スを設定し、真理の1~3キロ先を進むことにしました。
片道5キロ折り返しの4周回なので、8回すれ違うことになります。
その時に声を掛け合い、状況を観察しつつ進めていきました。
真理は21キロまでは走り続けてくれると思います。その先21キロが未知の世界。
フルマラソンは未経験、走ったのは30キロ程度までですが、5月に入って4回の4時間走を実施し、宮古島の自宅前の農道を炎天下に、走れなくなってからもなおドロドロになって前進する練習をさせました。
この練習にかけるしかないと思っていたのです。

練習でも並走することはわが夫婦はしていません。
心地よいスピ-ドが自分がキロ6分20秒、真理がキロ7分30秒と差があるので、レ-スでもお互いの心地よいスピ-ドで前進しつづけ、自分は歩いたり停まったりしながらひたすらキロ9分10秒の完走100%タイムを刻んでいきました。

28キロの折り返しですれ違ったとき、真理が、「次の折り返しまでは10時30分までに行くから、あと10キロを2時間で進むね」と言ってきました。
想定通り、すでに歩きが入っていました。
そう、これが何度も練習した「ドロドロの世界」です。

ラスト10キロは一緒に行くことを決意し、ラスト10キロ地点で真理を待ちました。

予定通り、32キロ地点に真理が現れ、一緒に10キロを前進しました。
いろいろスイムやバイクできつかった話をしましたが、まだレ-ス中なので、自分は心地よいペ-スで走り真理を待つ、キロ9分10秒をキ-プしていくことを意識して前進しました。

そして、いよいよゴ-ルが見えてきました。

たくさんの祝福に包まれ、進んでいきます。
このころは、もう沿道の応援の人達に二人とも顔なじみになり、「マリ、ガンバッテ!」とか、「カトー、ガンバッテ!」などと声がかかります。アイアンマンの海外レ-スでウェアに「JPN」の文字は必須です。応援の威力が全く違います。

そして、手を繋いで、感動のゴ-ル!!
真理は泣いていました。

11月から実施したキツイ練習の数々が走馬灯のように浮かんできました。
誰でもできる単調な練習をコツコツと継続して繰り返すと、こうしてバイクもランもほとんど未経験の「普通のおばさんが」、アイアンマンになれる。「奇跡」が起きる。

アイアンマンはやめられないなぁ~としみじみ思いました。
夫婦の絆がさらに深まった瞬間でした。

たくさんの応援、ありがとうございました。

夫婦で遂に、アイアンマンに成れました!

ラン
伸一
6時間44分43秒 9分35秒/km

真理
6時間23分34秒 9分05秒/km

TOTAL 
伸一/真理
16時間12分0